レダという国がありました。森と山と畑があるだけの、本当に小さな国です。
 この国には、こんな手鞠歌が伝わっています。
 
      瑠璃色鳥が梟を呼んだ。
     「わたしゃ羽折れ飛べやせぬ
      手紙を運んでくださいな」

      瑠璃色鳥が王子を呼んだ。
     「わたしゃ羽折れ飛べやせぬ
      包帯巻いてくださいな」

      瑠璃色鳥に小鳩が言った。
     「羽が治って飛べたなら
      お家に帰ってくださいな」

      瑠璃色鳥に王子が言った。
     「お前がいないと寂しいよ
      ずぅっとここに居ておくれ」

      瑠璃色鳥を宝箱に入れた。
 
 「宝箱に入れた」のところで、鞠を強く突き、高く跳ね上がって落ちてくる前に、くるりとターンをして、受け止めるというのが、この歌で鞠突きをするときのルールです。
 レダの国の王子様には、3人のお姉さんがいましたので、彼は小さな頃からこの歌をよく聴いておりました。
 そしていつも不思議に思っていたのです。
「歌の中の王子って誰だろう。箱に入れられた瑠璃色鳥はどうなったのだろう」
 ご自分も王子様ですから、余計に気になります。
 お姉さん達も、そして自分自身も大きくなって、鞠突きなどはぜんぜんやらなくなってからも、王子様は歌のことが気にかかっていました。
 そこで、お城の学者や、学校の先生にいろいろと訊ねたり、あるいはたくさんの本を読んで調べたりしたのですが、どうにもらちがあきません。
 ただ、大昔のお城の跡の近くに、その名も「宝箱」という土地があるということだけは判りました。
 なんでも、昔その辺りには大きな洞穴があったのだけれども、あるとき山が崩れて、入り口がわからなくなってしまったといいます。(その山崩れでお城が壊れてしまったので、新しく今のお城を建てたのですが、そんなことは王子様にはどうでもよいことでした)
 王子様はある日、思い切ってその「宝箱」という土地に行くことにしました。
 

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